" 上位をかき回した FBライダー " 難所系人気コースでの大激闘 !!

  • JNCC 全日本クロスカントリー選手権 第5戦 ワイルドボア鈴蘭  FUN
    日時: 2024年6月16日(日曜)
    開催地:鈴蘭高原スキー場跡地
  • Reported by DAIGO MIYAZAKI

  • 各会場の特色が豊かな JNCCシリーズのなかでも特にタフなコースとして知られているのが、岐阜県 鈴蘭高原スキー場跡地 だ。ここはゲレンデとして稼働している他のスキー場会場とは異なり普段は人の手が入らないため全体的に路面が荒れており、ガレや自然にできた溝と、上部からの浸水によりできた沼地などが多くのライダーを苦しめてきたコースだ。それでもなお、この鈴蘭はクロスカントリーライダーにとっては人気が高く「鈴蘭なら走ってみたい」「鈴蘭は参加したい」というライダーが後を絶たないないのも事実。とはいえただの荒地ではもちろんない。
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  • コースディレクターの萩原一氏によれば2週間前の6月2日に開催したWEXウエストでかなり路面が荒れたため、今回は重機を入れて整備したという。またレース中にもスプリンクラーでの水撒きなど細やかな手が入っているのも事実。 きめ細やかな整備や準備がおこなわれているからこそこの鈴蘭でのレースが長年継続して、人気が続いているといえるのだろう。
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  • さて午前中に開催されたFUN-GP。 前夜の大雨の影響が懸念されたものの、この日は朝から好天で気温も上がり路面はグッドコンディションと言えるものだった。
  • 星野代表が振り下ろすフラッグでスタートしたレースは、グリッド配置前に入念に下見をしていた FUN-Aクラス #05 岩井良宏 選手(331 Racing Team)がホールショットを獲得してレースをリード。オープニングラップは名物のヒルクライム「 SHOW TIME 」を回避するなどクレバーな走りでレースを牽引していたが、レース中盤の上りのガレ場での転倒でクラッチレバーの根元から折れるアクシデントが発生。ピット交換後クラス7位でゴールしている。
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  • このように今大会では通常レースの上位を占める FUN-Aクラス のライダーの多くがタフな鈴蘭に少なからず苦戦し、そのなかで FUN-Bクラス の上位陣と混ざり合っての激戦という模様となっていく。
  • なかでも FUN-Bクラス の #10 青柳和徳 選手(TEAM HOLISTEIN)と #1 武井優大 選手(teamナポ with my企画)、そして今季から FUN-SAクラス に転向した #13 得地孝一 選手(城北カワサキRT)らの活躍が目覚しかった。総合1~4位までをFUN-Aクラス以下のライダーが占めたことからも、今回のレースの特徴が現れていたのかもしれない。レース時間の短いFUN-GPといえども、サバイバル的な要素の強い鈴蘭だけにスピードだけでなくガレ場などの荒れた路面に対応し、なおかつ速いライダーがこれだけ多くいるということを証明したともいえる。
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  • そのなかでも 青柳選手 と 得地選手 は最後まで接戦となり、会場を盛り上げてくれた。 青柳選手は「クラス優勝も総合優勝も初めてづくしで 本当でしょうか?」と自身でも半信半疑の様子だったが、実は大会前日にチームの創業者が亡くなられたとのことで、このレースは弔い戦だったそうだ。 表彰台でもコメントされていたが「死ぬ気で走りました」というだけに、格別の勝利となった。
  • かつて COMP-AAで活躍していた得地選手は今年60歳オーバーということで、FUN-SAクラスからの出場ながらその実力は健在。 時に8分台という驚異的なスピードで駆け抜け、クラス優勝+総合2位という大活躍。総合ウイナーの青柳選手には僅差で敗れたが抜群の存在感を見せつけたのだった。
  • 総合3位に入った FUN-Bクラス 武井選手も若手ライダーのなかで期待される一人。父親とともに参戦中のライダーだ。自己最高位となるクラス2位、総合3位は自信がつく結果といえるだろう。
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  • ウーマンクラスの激闘も熱かった! とくに FUN-WAAクラス #3 近藤香織 選手(WRパワーレーシング with YAMALUBE)と、FUN-WAクラス #901 菅原穂乃花 選手(バイカーズベア with SP忠男広島)はお互いに意識しあい切削琢磨する仲。 近藤選手は「レース前半に石や木の根でかなりやられました。穂乃花さんに追いつけず負けてしまいました。次も頑張りたいです。」とコメント、総合は29位だった。 菅原選手は 総合26位。「目標の20位までは届かなかったのでまだまだです。得意ではない鈴蘭でしたがなるべく足を使って走ることでバテずに走れました。」とのこと、二人とも新たにミタス製タイヤを装着し10周を走破。ハイレベルな戦いはまだまだ続くのだ。
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  • さてミタスタイヤの話が出たので追記すると、いよいよ本大会から本格的に供給と発売が開始されたこともあり、FUN-GP、COMP-GPともに多くのライダーが装着して鈴蘭を走行した。 Jバザーでは馴染みの木村幸司氏が独立し新たにチェコブランドのミタスを取り扱い開始。FIM規制に適合したタイヤも揃えているので、今後のタイヤ戦線も、より熾烈なものになることは必須だ。 FUN-Aクラス3位の #39 湯浅将司 選手(TEAM S☆S YUASA YSP香川NORIFUMI)がミタスタイヤに関して「すごくグリップしてグイグイ登りました。」とコメントすると、すかさずクラス4位の #06 福森寿明 選手(Bivouac大阪 with RG3 Racing)が「MAXXISが抜群によく安定していました。」とコメントし、まさにタイヤウォーズともいえる状況。ライダーにとってもタイヤの選択肢が増えたことは歓迎すべきことだろう。
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  • 次戦は7月28日、御嶽山中腹に位置する MIAスキーリゾート で開催される。 昨年WEXで参加した鈴木健二氏は「上り下りともに溝切りがありライン選択が重要。石も多めで湿った路面は滑ります。上がるのに困難な場所もありますよ。」とコメントしている。ライダー達の活躍を期待したい!

 
 
 
 
 

 
 
 
 
 


 

  • 右回りの1コーナーで最初に飛び込んでいったのはホールショット男 岩井良宏 選手、中盤までレースをリードしていたがクラッチレバー破損で後退を余儀なくされた。

 
 
 
 
 
 
 


 
 
 
 
 
 

 

  • FUN-Bクラスの 青柳和徳 選手は自身初のクラス優勝だけでなく総合優勝も勝ち取り、チーム創業者の弔い戦の勝利を天に捧げる日となった。

 
 
 
 
 
 
 


 
 
 
 
 
 

  • ベテランライダーの 得地孝一 選手のテクニックが存分に活かされた今回の鈴蘭、それでも「2回ほど岩にぶつかって転びそうになりました。」という。淡々と走りきる見事なレースだった。

 
 
 
 
 
 
 


 

  • 父親と共に全国を遠征中の 武井優大 選手は総合3位という好成績に喜びながらも、冷静な表彰台のコメントが印象的。レース後は多くの仲間達と喜びを分かち合った。

 
 
 
 
 
 
 


 

  • 安定したペースを保ち FUN-Bクラス3位、総合でも4位と躍進した #51 河原廉弥 選手(Teamへっぽこ with Honey)。「2位を死守したかったんですけど武井選手の目の前でぶっとんでしまいました、次回は勝ちたいです。」

 
 
 
 
 
 
 


 
 
 
 
 
 

 

  • 5年ぶりに FUN-Aクラスで優勝した #14 橋本 努 選手(BambooRiders & 真明センチュリー)。「すべてエスケープしました。息子(大喜)にはいつも『人生はチャレンジしていけよ』と言っているんですが、私は無難な人生を歩んでいます(笑)

 
 
 
 
 
 
 


 

  • 1周めから荒れた急登ライン「 SHOW TIME 」 を攻めた #039 瀧村泰自 選手(SCF & バイクボンバー & KRC&FRONT UP)。「序盤でがっつりコケて息ができず3分ロスしましたが、なんとか全ラップ SHOW TIME を登って2位まで上がれました。」

 
 
 
 
 
 
 


 
 
 
 
 
 

 

  • 総合20位以内を目標とする FUN-WAクラス優勝の 菅原穂乃花 選手、全10周を周回し総合26位でレースを終えた。

 
 
 
 
 
 
 


 
 
 
 
 
 

 

  • 荒れた路面に苦戦しながらもさすがの走りで完走した FUN-WAAクラス 近藤香織 選手。

 
 
 
 
 
 


 

  • 近藤 菅原選手はお互いを意識しながら共に上位を目指すウーマンライダー、これからの活躍も楽しみだ!

 
 
 
 
 
 
 


 

  • 「走るサスペンションPRO」RG3の 福森選手 と 新田選手 は共にFUN-Aクラスの常連。午後はAAトップライダー3人を補佐するなど、超タフで頼れるライダーなのだ!

 
 
 
 
 
 
 


 
 
 
 
 
 

 

  • FUN-Cクラスを制した #243 藤井敬久 選手(チーム鶴里 with バイクボンバー)は、普段から荒れた路面で練習しているという。「前日は チャンプ 学 選手の動画をひたすら見て研究しました!」

 
 
 
 
 
 
 


 

  • FUN-Dクラス優勝は昨年20年ぶりにバイク復活したという #1065 堂野前克典 選手。「前回は1.5秒差、今日は1分以上離しての2連勝ができて嬉しいです。次回からFCクラスで優勝できるように頑張りたいです。」とコメント。

 
 
 
 
 
 
 


 
 
 
 
 
 

 

  • かなりしんどいはずのレース後半にカメラを構えてもポーズをとってくれるライダーもいる。楽しそうな姿を撮影していると、つい自分もレースに出たくなるのはエンデューロライダーの性か?(笑)

 
 
 
 
 
 
 


 

  • FUN-GPレース直後におこなわれた “Hottestアワード“、ハードなコースを勝ち抜いた各クラス優勝者が集結した。

 
 
 
 
 
 
 


 

  • FUN-WAA、WA、WB、WDクラス優勝者。 WB優勝は激戦を制した 桶川華乃 選手、WD優勝は 出津野とも井 選手だった。

 
 
 
 
 
 
 


 

  • FUN-Aクラス表彰式、左から優勝 橋本選手、2位 瀧村選手、3位 湯浅選手、4位 福森選手、5位 佐久間選手。

 
 
 
 
 
 
 


 

  • FUN-SAクラス表彰式、左から 得地選手、佐藤選手。